七つの神社を巡る|KINTAさん(3)製作レポ
KINTAさんが手掛ける、「益子農機具神獣と星の精霊群」が10月中旬から塙地区の星宮(ほしのみや)神社で展示される予定だ。今回は製作レポート第二弾をお届けする。
前回伺ったのは9月頭。前回はひんやりとした雨が降っていたが、今回は季節が逆戻りしたのかと疑うほどの秋晴れのなか、再びKINTAさんの作業場を訪れた。
…どうやって出そう?
「大きく育ちすぎちゃった、どうやって出そうかな?」
久しぶりに会ったKINTAさんの第一声は、戸惑いと期待が混じるような疑問詞だった。
恐る恐る現場を覗くと、そこには見上げるほど大きい“神獣”がいた。
神獣の骨格と筋肉を意識しつつも、素材に寄り添いながら自由につくるKINTAさん。
素材を楽しそうに神獣にあてがう姿が印象的だ。
「個性のある素材が集まっただけの形で、一体にはなっていないけどね。」
と、KINTAさん。
今回の作品は、益子の地を耕してきた農機具の廃材を使って製作している。
使用している素材は、色もサビ具合もさまざまである。
「個性を生かしたいから面影は残すけど、繋げて、トーンを合わせて、ひとつにしていく。まだ進化の途中だよ。」
「最後に目を入れる。それで神獣にいのちが吹き込まれる。」
素材に対して臨機応変に、やわらかく対峙することで、自然としっくりくるところに落ち着くというのがKINTA さんの考え方だ。
すでに力強く、空を見上げているように見える“神獣”だが、それは素材の強さによるものだと教えてくれた。
神獣がこれからどう進化していくのか、KINTAさん自身もわからないそうだ。
しかし、最後の工程は“目”を入れることだという。目を入れることで、神獣にいのちが吹き込まれるそう。確かに、一気に神獣の表情が豊かになった。
神獣の開放は10月中旬
「神獣を作業場から解放して、自由にしてあげたい」とKINTAさん。
舞台となるのは塙地区にある「星宮(ほしのみや)神社」。10月15日から展示開始予定だ。
神獣がどのように進化していくのかを期待しながら、秋の深まりを待ちたい。
(土祭2021レポーター 金敷奈穂)