ウィンドウアート・レポ|マツナガレミ さんの可視化された世界
新緑あふれる森の側で、大きな窓ガラスに白い線が描かれていく。
目を離すと見逃してしまう程に、迷いのない手で次から次へと浮かび上がっていく生きものたち。
その中の小さな小さなものが人間らしい。
どんな人が描いているの?
描く人は益子在住の焼きものやのマツナガレミさん。
アシスタントはTAMASAとして活動中の市貝在住の母娘。
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レミさんの下絵に集まった人たちで色を塗っていく。
「これは何?トカゲ?イモリ?」
「この象は何色に塗るの?」の問いにレミさんは
「何でもいいから、早く塗って」と答える。
そっけなく聞こえるが「何でもいい」というのは、
ピンクの象がいたっていいじゃないか、青い熊だっているかもしれない、
当たり前だと思っている世界が全てではない・・・という、
もっと大きな視点を持った愛に満ちあふれた人だと感じた。
可視化した世界
絵の中には大きな木の下に多様な生きものがある。
大きな象や熊や鳥に比べ、小さな小さな人間が一つ。
レミさんは「現実では世界を支配しているかのような人間だが、自然の中では1割くらいの存在で良いと思う」と。
そして描かれた無数のマルは、種であり、菌であり、微生物を表しているそう。
「目には見えないが土の中に確かにいて、植物や動物、私たちを助けてくれている。
そういったものに生かされているのだ」と話す。
メッセージ
レミさんは、「人間は目に見えるものを信じ、自然を独占しようとするが小さな存在であることを認め、目に見えない世界を感じ、想像して感謝をしながら生きていこう」という思いを絵に託した。
「見に来てくれる方たちに分かりやすく、伝われば良いです」と語る。
ウインドウアートはガラスに描かれているので、光の明るさで絵の感じが変わります。
是非、益子の森を散歩しながらその時々の作品をお楽しみください。
(土祭2021レポーター 横溝夕子)