[6]山本地区 風土・風景を読み解くつどい 1/13

1月13日に松本コミュニティセンターにて開催した、益子町南部に位置する農村地帯、
山本地区の「風土・風景を読み解くつどい」。
廣瀬先生作成のスライドを一部紹介しながらご報告します。


[山本地区スライドNo20]

 

当日は地区内外(宇都宮市やつくば市からも)から40名を超すご参加をいただきました。
下の写真のスクリーンの後ろに見えるのは、江戸の天保年間に、
この地に滞在して画家の安達三楽斎が描いた襖絵の一部。
この地域は、このような襖絵が舞台背景として用いられた農村歌舞伎舞台(江戸時代より)や、
雅楽(明治時代より)、太々神楽、お囃子などの伝統芸能が
地域の人々によって生かされ続け(一度途絶えても復活させ)てきたところです。

 

[山本地区スライドNo.31]八幡神社で奉納される山本太々神楽(11月9日取材)


[山本地区スライドNo.43]妙伝寺「報恩講」で地域の方々が雅楽を演奏
(12月11日取材。廣瀬先生の取材スケッチより)

[山本地区スライドNo.42]なかなか見る機会が無い「雅楽の譜面」も西洋楽譜とともにみなで確認しました。

[山本地区スライドNo.38]
地元の山の木や竹を用いて自分たちで舞台を建て、歌舞伎や芝居の一座を呼び楽しむ。
江戸末期から続いた「農村歌舞伎舞台」も昭和20年代に途絶えていましたが、平成15年に
松本自治会のみなさんが復活させました。
つどいでは、舞台の構造が理にかなったものになっていることなども話題に。

………

つどい開催までの調査では、地域の方々への聞き取りや踏査を中心に行いますが、
地域の方々から「これを読むといいよ!」「神田の古本屋でみつけた文献を貸してあげるから!」などと
情報をいただくことも多々あります。
山本地区の場合は、複数の共同体の自主的な取り組みによる地域づくりが古くから注目されていたことから、
論文や調査報告もありました。早稲田大学日本民俗学研究会が昭和51年にまとめた「山本大郷戸の民俗」や、
専修大学人文学部の今野裕昭先生の論文「現代農村の地域活性化と地域社会の再編
−栃木県益子町山本・大郷戸地区の事例から−」(2011年)なども、
廣瀬先生と事務局員で読み込み(とはいえ、事務局員はなかなか読み込めず、
廣瀬先生にレクチャーをいただきながら)、地域社会学的考察も織り交ぜながら読み解きを進めていきました。


[山本地区スライドNo.40 ]


[山本地区スライドNo.26 ]

 

地域の方が企画から自分たちで行ってきた環境整備などの事業資料も、現在の風景と照らし合わせながら、
その良さを確認しあいました。

[山本地区スライドNo.53]地域の方達が企画して実現していった環境整備の計画書から。


[山本地区スライドNo.54]心地よい空間となっている、いまの風景。

……

このようなこと以外にも、つどいの場で、地域の方々から語られたのは、
益子町の南端の地区として接する茨城県との関わり(山道を通して隣県の富谷観音へ参拝に通ったことなど)や、
葉タバコと麦、ユウガオとネギを共栄作物(病害虫などの防止や成長を良くするために一緒に植える作物)として
栽培したこと、戦後に朝鮮から引き上げて来て開拓団として入植した方々のことなど。

最後に、2時間のつどいで、いちばん会場から濃い(?)反応があったスライドを紹介します。


[山本地区スライドNo.49]
山本地区にも関わりがあった二宮尊徳さんの「いちばん本人に似ていると言われている」肖像画。
「以外と強面?」という声も多くあがりましたが、尊徳さんの創意工夫や課題解決の力は、
地域のみなさんの頑張りと相通ずるところがあるようにも思えます。

…………
次回の「つどい」は、益子町内の北部に飛んで、小宅(おやけ)地区。

2月14日1830-2030 小宅西公民館にて。
益子焼でも重宝される「芦沼石」、小宅古墳群、土地利用や環境整備などもテーマとしてあがる予定です。

ぜひ、ご参加ください。   (土祭事務局 簑田)

 

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