七つの神社を巡る|仲田智さん(1)紹介コラム

10月15日からのメイン期間では、アーティストの屋外展示が始まります。
どんな考えや環境で創作活動を行い、土祭2021では
どんな世界を私たちに見せてくれるのでしょうか。
土祭2021の広報冊子『ヒジサイノート』に掲載中のアーティストへのインタビュー記事を、お一人ずつ、こちらでも順に紹介していきます。今後、住民レポーターさんたちによる制作風景のレポートの掲載も始まりますので、どうぞお楽しみにお待ちください。
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アートプログラム|七つの神社を巡る  八幡神社(長堤)
仲田智さん  見慣れた景色を変えるドア
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益子町から東へ車で四十分ほど、八溝山地の南端部となる低山の中腹に、美術家の仲田智さんは住む。電気や水が引かれていない状態から二十年近くかけて、アトリエと住まいを、時にはプロの手を借りながらほとんど自力でつくり続けていている。メディアでも紹介されることもあり、「住まいをセルフビルドするアーティスト」としての記事を読まれた方もいるかもしれない。台所も風呂も、必要になればつくる。家族構成が変われば、その必要に応じて、新しい小屋や部屋をつくる。

時間とともに育てる作品

 「無い」という状態から「存る」という状況をつくりだす時間の軸の持ち方は、美術家としての仲田さんの作品制作にも通じる。鉄や木などに色を塗って、戸外に置き、太陽や雨風にさらして、数年待つ。ゆったりと流れる時の中で出てくる表情を良しとする。サビ風の塗装ができるスプレーなどはもちろん使わない。ドローイングも、描きたいときに描きたいところだけ色を重ね、じっくりと育てていくそうだ。

さて、今回の土祭での展示会場は、地域の人たちが何代にも渡り、守り、育ててきた田野・長堤地区の八幡神社の空間だ。境内には、遠い昔に崩れた鳥居もオブジェのように存在している。そこでカメラの前に立ってもらう。仲田さんは言う。
「土祭って最初から作家として参加しているけど、毎回、お題を与えられるんだよね。初回は、焼き物の釉薬のテストピースを使って作品つくってくださいだったし、震災で割れた陶器のカケラで陶芸家や子どもたちとワークショップしてください、とか、見晴らしがいい丘で、小屋を作りませんか、とか(笑)。今回は、神社という会場そのものが、僕にとって、お題なんですよね」
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難しいお題ですか?
「実は、子どもの頃から、神社ってあまり得意じゃないんだよね。独特の空気感があるし。展示としては、とても難しい。場所そのものが持つ力が強いから。だから、今回は、ここに来てくれる人に何かを見てもらうのではなく、何かを体感できる、参加できるようなものにしようと思って・・・」

鳥居をくぐると空気が変わるような感じがするでしょ?と仲田さんは言葉を続け、もうひとつの鳥居として、あるいは全く別の装置として「どこでもドア」のような作品を制作すると考えていると言う。鳥居をくぐると空気が変わる。ドアを開けて進むと、何が変わるのだろうか。見る者、行く者の感知する力や想像する力が問われそうで、それもまた楽しいと思う。

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仲田智さんプログラム紹介ページ
http://hijisai.jp/program/c-03-1/
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『ヒジサイノート 4号』より転載。
益子の未知の日常を探る巻頭記事なども掲載した土祭2021の広報冊子『ヒジサイノート』は
土祭オンラインサイトでも送料のみで購入できます。
https://hijisai.stores.jp
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取材・執筆・写真|簑田理香(風景社)

 

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