七つの神社を巡る|ダグラス・ブラックさん(2)制作レポ 溢れるPower of Life
生命の力強さを感じるアトリエ
この芽。
ある樹木の芽です。なんの木の芽かわかりますか。
答えは「桐」です。
なんと、陶芸家ダグラス・ブラックさんのアトリエの床に生えています。
最近生えてきたそうです。
ダグラスさんのアトリエは、床が土の土間になっています。去年の暴風雨で庭に立っていた桐の木が倒れてしまったそうです。その木の根が、ちょうどアトリエの下を這っているようで、負けないように芽が出てきたんだ、と教えてくれました。
育てているわけではない、倒木の新しい芽が、物の隙間からどんどん出てくる、生命のパワーが漲る空間。
そんな場所で、ダグラスさんは日々、制作活動を行っています。
9月末、益子町のお隣、茂木町にある、ダグラスさんの住居兼アトリエへお邪魔しました。ダグラスさんのプロフィール等は、下記記事をご覧ください。ほとんどをセルフビルドで建てた、という建物や庭。入ってすぐの土間風のリビングには、土祭2018でダグラスさんが展示した「Under One Sky」がさりげなく飾られていたり、季節の植物が花瓶に生けられていたりと、センスあふれるおうちです。ダグラスさんも奥様も、庭にいる鶏やねこちゃんも、隣で飼育しているという馬も(!)笑顔で迎えてくれました。
リビングを抜けた奥に、冒頭で桐が生えてきたとお伝えした、アトリエがあります。
アトリエの壁は赤土色。棚やスツールはパープル。珍しいけれど、見覚えがある色合い。
「メキシコみたいですね。」と聞くと、
「オレンジとパープルが大好き。ニューメキシコ(アメリカの州)にもよく行く。」
とダグラスさん。
この日のコーディネートも、パープルのTシャツに、オレンジのズボンでした。
アトリエでは、アートに使う、亀の形をした陶器を制作中でした。
アート会場である、亀岡八幡宮にちなんで亀にしたのだといいます。
「宮司さん、喜ぶといいな。」
「本物の亀を作るのは難しいから、シンボルのような形にして。5000年前くらいのエジプトの亀の絵から、(ヒントを得て)なんとなく真似しました。」
メインのアート作品は
陶器を作るアトリエとは別の、納屋のような作業場に、今回ダグラスさんがメインで飾ろうとしているアート作品が置いてあります。
長い、檜(ひのき)の柱の中に、赤い鉄製のパイプが入っています。
長さは、4m。これから周りを真っ白に塗り、上部に、先ほどご紹介した亀の置物を取り付けるそうです。
下の方には、鏡を取り付ける予定。4方向に囲むように付けるそうです。
「森の中に立てるから、浮かんでる感じになるかな。鏡は、神社の神様がいるところで、ちょっと遊び心を入れた。(この柱の周りに)神様がいるから、みんな映るように。周りは、全部まっすぐな杉の木でしょ。一本一本、1つの存在。でも一緒になると1つの『森』になる。でも、みんなそれぞれ特別じゃないですか。だから、特別な真っ白の木に、真っ直ぐな木がみんな映る。そんな遊び。」
”All Are One”
ダグラスさんの今回の土祭におけるタイトルです。
All は、鏡に映る全ての存在。神様も、私たちも。
特別な存在。
出来上がって、神社に展示された柱の鏡の中に、いったい何が見えるだろう。そんな思いを抱きながら、アトリエをあとにしました。
ダグラス・ブラックさんの紹介コラム
http://hijisai.jp/blog/2021hijisai/art/11165/
ダグラスさんの土祭2018作品
http://hijisai.jp/blog/jimukyoku-dayori/9246/
(土祭2021レポーター 橋口奈津子)