風景の発見 円道寺池周辺の風景観察ツアー|地域でつくる「風景」
10月17日の風景観察ツアー2回目は、雨のため中央公民館での屋内レクチャーに変更して開催されました。
町の中心部・城内坂近くにある円道寺池の周辺は、地元の方々で作る「益子花の会」の皆さんが「環境保全と観光名所化」を目標に日ごろからお手入れをされてる里山です。
レクチャーの前半は、その「益子花の会」の方からこれまでの活動について伺いました。
円道寺池周辺は、花の会が平成24年に活動を始められる前までは40年ほど放置されていた場所だったそうです。そこを会員の皆さんが月に2回ほど、約10年にわたって里山や遊歩道の整備、花木の植樹や維持管理作業をされてきたことで、春には桜や菜の花が咲く花の名所として知られるところとなりました。
昔ながらの薪や炭などを生産するための里山ではありませんが、ここも同じく人が関わることによって維持されている環境ということが、このお話から伝わってきます。
後半は、風景観察ツアーの第1回と同じく景域計画株式会社の八色宏昌さんから、里山環境とそこで見られる植物のお話がありましたが、今回は現地を歩くことができなかったということでちょっとした体験も用意されていました。
それは、木の葉っぱから種類を調べようというもの。用意された葉っぱを観察して、図鑑で名前を調べてみます。見分ける際のポイントについて八色さんから説明を受けたあと、実際に葉っぱをじっくりと観察しました。
参加者みんなで図鑑や時にはスマホのアプリを使い、葉のつき方や形の特徴を比べながらあれかなこれかなと話し合い、最終的には10種類すべての木の葉を見分けることができました。
プログラムの最後に、八色さんの会社で取り組まれた事業として都市部の住民が中山間地域の森の手入れをするツアーが紹介されました。
これは、人口減や高齢化で山にかかわる人が減っていく地域に自然とのふれあいを求める都市部の人が出かけ、間伐や炭焼き体験などを通して森を保全する、というもの。「益子花の会」も活動される方の平均年齢が70歳代となり後継者をどうするかが問題になっているというお話がありましたから、今後は益子町でもこうした都市部との交流で里山を維持していくという活動が必要となってくるのかもしれません。
※中山間地域とは、平地の外縁部から山間地にいたる地域を指す言葉で、日本の国土の約7割を占めています。農林業の場としてのほか水源かん養や洪水防止などの機能を持っています。
益子の里山に広がる景色は、そこに関わる人の存在なくしては成り立たず、このまま続いていくこともないのでしょう。里山の保全や管理を考えていくことは、関わりたいと思う人の輪をどう広げてつなげていくかという視点の必要性を感じたプログラムでした。
(土祭2021 レポーター:鈴木利典)