ウインドアート レポ| “ 絵はエネルギーを感じるもの ” ながみともみさんと「すえものがたり」を描く
4月から益子町内各所で行われているウインドアート。
7月24日に、城内坂の大宿窯を会場にして開催された、ながみともみさんのワークショップにお邪魔した。
ウインドアートはどんなもの?
参加者は事前に申し込みをしていた子どもたちと保護者で、前日にながみさんが下絵を描いたガラス戸に色を塗ったり、絵を描くというワークショップ。
使う画材はキットパスというガラスに描くことの出来るクレヨンみたいなもの。
始めに使い方を聞いて、自由に描いてくださいということでみんな思い思いに手に取ったキットパスで下絵の雲や虹、鳥、丘を塗っていった。
塗った所を指で伸ばすとふんわりとしたニュアンスになり、雲や登り窯、草原などを塗ると柔らかい感じになった。
また、2色3色と塗った所を指で伸ばすと、色が混ざって新しい色になったりして、面白い。
だんだん熱が入ってくると、塗るだけでなくにオリジナルの絵を描き足したりして、ガラスいっぱいに色が溢れる。
ながみさんは自然にこちらも笑顔になってしまうくらい、にこにこエネルギーが満ちているように見える。
その明るい雰囲気の中で参加者のみんなも笑顔で描いていた。
テーマは?
ながみさんに、今回の絵について尋ねると
「タイトルは〔すえものがたり〕で、テーマは‘里山に登り窯がある風景’」と言う。
〔すえもの〕とは平安時代のころに〔陶器〕と書いてこう読んだそうで、益子は古くから陶器を作る窯業が盛んな町であるため、益子の豊かな里山の風景とともに馴染みのある陶器を焼く登り窯を描いたのだそう。
青空で鳥たちが歌い、ふんわりとした雲からは雨のしずくが落ち、緑の大地が広がり、登り窯からは虹色の煙が流れていて、ながみさんの持つピースフルな空気を感じるで楽しげな絵が完成した。
会場の大宿窯さんは焼き物通りと呼ばれる城内坂の通りに面しているので、観光客だけでなく、町民の方も往来時にウインドアートを気軽に見ることが出来る。日常に溶け込んでいるが、いつもは透明なガラスがカラフルな楽しい絵の作品となっているのを足を止めてゆっくりと眺めてみたい。
絵に込めた想い
ながみさんに絵にはどんなことを込めているのか質問すると、「描く時はあまり頭で考えないで、心で感じたものをそのまま描く。
自分が描いていて、気持ちの良いライン、色などを大事にしている。
絵はエネルギーを感じるもの。
絵は実用的なものではないから、うまい下手ではなく、見た人がエネルギーを感じるものだと思う」と答えてくれた。
また、「今回のテーマである陶器(すえもの)を作る時には、土、水、火、風が必要だと考えると、日頃から思っている、万物は四大元素(風・火・水・土)から成り立っているという考えにピタリと一致して納得した」と語った。
メッセージ
ながみさんは、「自分の描いた絵にみんながコラボレーションしてくれて嬉しい。
子どもたちの自由な発想を体感できて楽しかった。
みんなで作り上げた作品をたくさんの方に見てエネルギーを感じてもらえたら良いです」と話した。
参加した子どもたちも「楽しかった!また描きたい!キットパス買って!」と嬉しそうだった。
保護者の方も「いつもは描いてはいけない所に描くという行為がワクワクした。とても良い経験になった」と感想を話した。
展示詳細
展示場所 益子町城内坂65 大宿窯
展示期間 10月31日まで
城内坂の通りに面したお店のガラス戸が作品となっています。
エネルギーに満ちた作品をぜひご覧ください。
(土祭2021レポーター|横溝夕子 写真|横溝夕子・簑田理香)