参加レポート|5月22日トークセッション

土祭初日の5月22日、ヒジノワにて開催されたトークセッション・「万物の生命の根源、土をめぐる対話」に参加いたしました。

はじめまして。土祭レポーターの鈴木です。

本来なら、その様子を詳細に報告することがこの「レポート」の場にふさわしいのですが、既に公開されています動画やテキストのアーカイブにその役目を譲ることにして、ここでは一参加者としての感想をお届けします。

なお、トークセッションの内容につきましては、以下をご参照ください。

・石倉さんの講演「万物の生命の根源、土」は、土祭Youtubeアカウントで会期最終日の11月14日まで公開されています。

https://www.youtube.com/watch?v=m6bbRyhO2LI

・また、第2部の対話は、ヒジサイブログ6月6日の記事でテキストにて公開されています。

http://hijisai.jp/blog/2021hijisai/related_projects/10348/

 

「土」と「ヒト」とのかかわり

第1部は、秋田公立美術大学・石倉敏明さんのお話。そこでは古代から現代、日本から西洋へ、日常生活からアートや民間信仰へと、時間や空間・ジャンルを超えて「ヒト」が抱く「土」への様々な思いが紹介されました。

紹介されるエピソード。国造り神話、土偶等であらわされた女神像、カマガミサマ、縄文文様、民藝運動、虫送り、カシマサマなどなど…。そのどれもが、「土」と「ヒト」が深くつながっていること、土なしでは生きてこられなかったヒトの姿を伝えてくれます。

でも、それらは現代に生活する私たちにとっては、縁が薄いもののようにも感じますが、皆さんはどう思われますか?

ここで改めて、物質としての「土」ではなく、身近な存在としての「土」を見直してみましょう。

そこから生き物が生まれ出で、草木を育み、やがて死に朽ちて帰っていく場所、というのは今も変わらず続いていることに気づかされます。さらにその想いは、過去から現在、洋の東西で様々な「土」との関わり方を持った「ヒトビト」から連綿と続いているものだということにも。

石倉さんのお話に登場する様々な事例は、実は今を生きる人それぞれとつながり続けているのだ。そう私は思います。

 

対比と調和

さて、第2部は、イタリア・秋田・益子をつないでの、石倉さんとアレッシア・ローロさんの対話。

その中から私の頭に浮かび上がったのは「対比」と「調和」という言葉です。

アレッシアさんが表現に使う道具は写真。写真は本来「光」をとらえるものですが、光を表現するためには対となる「陰」の存在が不可欠です。それは第1部で触れられている天と大地、火と土、そして生命と死の様でもあります。

一方で、それら二つのものはどちらか一方が正ではなく、どちらにも存在意義があり、両者が「調和」することで様々なものを生み出します。対話の中でも、光と陰、古い伝統と新しい文化のそれぞれが存在することの大切さについて語られています。

トークショーを通して私たちに伝えられた「土」と「ヒト」とのかかわり、そして「対比」と「調和」。

それは、「土祭」のコンセプトとも強くつながるものです。

今回の土祭でも様々なプログラムが展開されていきますが、それらに参加される前に(もちろん参加後でも)ぜひこのトークセッションのアーカイブをご覧いただき、自分なりの「土祭」への想いを抱いていただけたらと思います。

(土祭2021レポーター:鈴木利典|写真 佐藤元紀)

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