[4]道祖土地区 風土・風景を読み解くつどい 11/30

水があって、土があって。「水土」は、益子の風土の中心に。


[道祖土地区つどい スライドNo.29]

11/27に、こちらでもお知らせしていた「道祖土(さやど)」地区のつどいの報告です。
掲載スライドは、すべて廣瀬俊介先生作成の「つどい」で上映したものより。
上のスライドは、手漉し、水簸(すいひ)で粘土を作る最後の職人・吉沢仁さんの作業場で撮影されたもの。

古くから益子焼に用いる土が採掘され、原土を手作業で粘土にする粘土職人さんたちが
軒を並べていた北郷谷(きたごや)地区。そして、歴史ある窯元や販売店も並ぶ通り。

今回のつどいでは、若手から中堅、ベテランの陶芸家のみなさん、ここで生まれ育った年配のみなさん、
また地区外からの参加で手仕事を生業とする方々、
そして、(つどいにあわせて帰省された)この地区出身で首都圏で働く方など35名の参加をいただき、
道祖土地区の歴史、風土、そしてそこから続いてきた生業や山と里の暮らしの繫がりなど、
さまざまな話が交わされました。

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[道祖土地区つどい スライドNo.46]


[道祖土地区つどい スライドNo.50]

廣瀬先生作成のスライドとお話を見聞きしながら、参加者のみなさんで交わした話から、
50〜60年くらい前の暮らしのことを少しご紹介します。

「稲わらや麦わらを焼き物の梱包に使ったが、焼き物ひとつひとつを包むのに麦わら、
全体を包むのは稲わら、と使い分けていたが、それは、麦わらのほうに弾力があるから」
「稲わらは燃やして灰をつくり、じゃがいもの種芋を半分に割った断面につけて、種芋の腐敗防止にも用いた」
「籾殻を燃やした灰は、焼き物の釉薬つくりにも用いるが、籾殻灰は、田畑の土にも混ぜていた。
化成肥料を使うようになってからは、野菜にアブラムシがつくようになり、農薬も必要になってきたと記憶している」
「囲炉裏もかまども、風呂も、登り窯も、地域の山のものを燃して火をくべた」
「風呂を沸かすのが子どもの仕事で、学校から帰ると籠をしょって山へ行き、松葉や杉っ葉を拾い集めた。
早く終わらせて遊びに行きたかった」
「夜になると、お寺から塔婆をもってくるという肝試しをした」
「肝試しと言えば、須田ヶ池や北郷谷池で昔はスケートができた。部分的に凍っているだけだったから、
どこまで先に行けるか、肝試しのようだった」

木々の落ち葉や枝や、山のものを皆でありがたく使うから、いつも手入れが行き届き、
山の中はどこまでも見通せていたそうです。
「山の下にいても、山に生えているチタケが見えるから、
親に、あそこにあるのを採ってこい、と言われていたよ」という話題も。
山のものが、窯業に生かされ、暮らしに生かされ、
里の田畑のものも、農作業の中で循環し、窯業にも暮らしにも生かされる。
そのような「シンプルな豊かさ」が、単なる昔話ではなく、これからの選択肢の1つとなりえるように。
土祭を通して考えていきたいテーマでもあります。

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「地域ごとに風土・風景を読み解くプロジェクト」アーカイブ作成のお知らせ
①つどいの前に廣瀬先生と事務局や地域の方と行う聞き取りの全記録と、
②つどいでの参加のみなさんの対話録③スライド集…を
「土祭基礎資料」として、まとめることを始めました。
広くみなさまにもお読みいただけるよう、順次、Webサイトでも公開していきたいと思います。
(土祭事務局 簑田)

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*1月の「つどい」は…
「山本地区」
1月13日(火)18時半〜20時半 松本コミュニティセンター
「田野地区」
1月24日(土)18時半〜20時半 改善センター

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