「生きていることの安心感」 クリス智子

   クリス智子さん、生まれ故郷のハワイでの1コマ。アメリカと日本、
   さまざまな土地で暮らした体験をもつクリスさんにとって「益子」はどんな土地なのでしょう。
   テレビ、ラジオのパーソナリティ、ナレーション、執筆など、
   言葉と出会いとを大切に活動していらっしゃるクリス智子さんに土祭へのメッセージをいただきました。
   

「生きていることの安心感」

2009年、はじめての土祭を訪ねて以来、
秋を心待ちにする理由のひとつに土祭が加わった。

その年、私は仲良しの友人夫婦に連れられて、
東京からほどよい距離にある益子へ
ドライブも楽しみがてら向かったのだが、
予想以上に、益子の自然と人と、
そして、その間に生まれた数々のものに
エネルギーをもらったようで、
帰りの道中、体中に様々な言葉が飛び交っていた。

あまりに強く残るので、
深夜の帰宅後、それらを書き留めたのだが、
縁あって、その数日後、
私は、また開催中の土祭に舞い戻り、
左官の挟土さん制作の素敵な土舞台で朗読をさせて頂いた。

風と雲と山と土と。
音楽と言葉と食と文化と。
そうしたすべてが融合する心地よさ。

そして、過去から今に、今から未来へと、
つながっていることを確信できる安心感があった。
益子の土祭は、ずいぶんと器が大きい。

先日、久しぶりに益子へ行った時、
夏の雷雨のあとの夜空に、
見たこともないような満天の星空が広がった。
大人6、7人、子供みたいにはしゃいでは、
首痛くなるほど黙って空を見上げた。

きっと今年の土祭もいい祭りになるにちがいない。

私も、まだまだ知らない益子に出逢いに、自分に出逢いに、
出かけたいと思っている。

クリス智子/パーソナリティ
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   トップページの写真は、2009年の土祭、土舞台とクリスさん。
   2009年の土祭では、土舞台の演奏会で詩の朗読をご披露いただき、秋の夜風と心地よい音楽と
   クリスさんの言葉の響きに、会場みな、満ち足りた気持ちになりました。
   当時、土祭によせてクリスさんが書かれた詩も最後にご紹介します。 公式サイトchristomoko.com
   
「土 ひじ」   クリス智子 2009土祭に寄せて

土の層は 記憶の層
木々の緑は 幾重にも
営みの繰り返しは ただただ 美しい層を紡いでゆく
ひと筋の上に またひと筋の
様々なものの 層の調和は
そうして この空 宇宙へと続いてゆく

あなたが ここにいなくても
私はあなたに気づくでしょう
私が ここから消えたとしても
あなたは 私を知るでしょう

柿が熟れてつぶれたそばで
光のかけらが 新しい
光のかけらの すぐまたそばで
はるか昔の 色を見る

それらすべては
今日の土の上にて

 

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