レポーターコラム|いつもある未知の日常
「そこにすでにある、未知のいいもの」
私には秘密のとっておきの場所がある。
秘密といっても誰も知らない所ではなく、誰でも通ることの出来る道沿いにある。
その場所を密かに「スギナ大地」と呼んでいる。
そこはなんてことがない空き地でスギナがびっしり生えている。
夕方の犬の散歩当番で通るいつものコースなのだが、朝、通ったときに驚いた。
その台地が光り輝いていたからである。
朝露を含んだスギナが朝陽を浴びて、キラキラと眩しいほどだった。
まだ写真にはうまく収めてはいない。
その美しさをとらえることが出来ない。
何度も刈られ、除草剤をまかれても、また生えている。
生命力のかたまり。命そのもの。
その光景に立ち会えたことが、私にとって一つの指標となった。
いいと思えるものは何処にでも転がっているかもしれない。
つまりはそこら辺にあると思っていた方がいい。
すでにあるものの中に見つかる喜び。
意識、気持ちの在り方で見える景色、感じる心が違ってくるということだ。
今回の土祭では、広報ブログのレポーターとして、町民として、たくさんの未知のも
のに出会うことができた。
メインテーマである「アラワレル未知の日常」。
知っているようで、実は見えていなかったものや場所、人たち。
昼とは違った神社の表情。見ることしか出来なかったものに触れられる好機。
写真越しに、出会うことのなかった顔に出会えるおもしろさ。いつもとは別の場所か
ら見る風景。
知ってる場所を改めてじっくり眺めたり、、作り手の思いが込められた作品、関わっ
た人たちの笑顔、みんなで星を見上げたこと。
日常の中にすでにあるいいものをたくさん発見できた土祭だった。
(土祭2021レポーター 横溝夕子)