七つの神社を巡る|ダグラス・ブラックさん(4)展示レポ|鏡に映る心の風景、そして亀はどこへ向かう
亀岡八幡宮
小宅古墳群に隣接する『亀岡八幡宮』。
こちらにダグラス・ブラックさんのアート作品、
‘All Are One’
が展示されている。
「ウミガメの赤ちゃんが生まれて、みんな一斉に海へと向かう。人生のスタート。」
制作取材の際、ダグラスさんから、そんな説明を受けた。
亀岡八幡宮の「亀」からインスピレーションを感じたダグラスさんが、海へ向かうのではなく、上へ上へ、もしかしたら宇宙まで。何かをスタートさせた亀を柱に設置した。
亀はどこへ向かうのか。どんな未来へ向かうのか。
亀岡八幡宮には、亀がたくさん祀られている。その謂れは、源頼家が奥州征伐の際、現在の小宅周辺の館に宿し、祈願した石清水八幡宮の沼にて、大霊亀が現れ奇瑞(吉兆の意味)を示した。その後、討滅に成功した頼家が凱旋し、社殿を創建、「亀岡八幡宮」としたとのこと。神亀も祀られており、念じながら撫でると願い事が叶うとされている。(境内設置の看板参照)
ここまでの道のりは
亀岡八幡宮の社殿の左手に進んでいくと、土祭ブースが見える。
そこで、受付をし、スタンプがもらえる。
更に、進んでいくと、小宅古墳群に行けるのだが、そこまでは突き進まず杉の森の小道を行く。
そうすると、アート作品の看板がある。
【奥に見える黄緑の地面の広場は小宅古墳群です。】
案内矢印に従い、右へ進む。
やがて、道標のような灯籠型オブジェが見えてくる。
上から覗くと、ダグラスさんからのメッセージが。一つ一つ違うメッセージが込められている。
メインの作品までの『ものがたり』を楽しんでほしい。
制作レポ(3)で触れたが、このオブジェの上部は缶でできていて、底が鏡、蓋は透明なレンズのようになっている。写真をご覧いただくと、感じた方もいると思うが、鏡にもレンズにも周囲の森の木々と空が映り、更に中に貼られたイラストも相まって、幻想的な様相を示す。
ゆっくりと、ダグラスさんの世界を感じ、考え、思いを巡らせながら進む。
鏡の中に映るもの。見えるもの。
森の中に、突然小さな空間が現れ、メインの作品に出会えた。
【メインのアート作品 All Are One】
大地に根ざし、宇宙に向けてアンテナも出す。
過去から未来へ。
柱の中央に、4面に貼られた鏡がある。
作品に近づき、さまざまな方向から見てみた。
鏡がなければ、見えなかった手前の森の木々が、奥に見える木々と共に目に映る。
意識してみないと見えてこなかったもの。
今まで自分とは関係のないものと決め込んでいたもの。
ふと立ち止まらないとじっくりと見ることができなかったもの。
たくさんあった。
実にたくさん。
まさに、「未知の日常」だったり。
視点を変えることは、結構かんたんだよ。と言われている気がした。
感性の土壌「七つの神社を巡る」ダグラス・ブラック
タイトル|All Are One
亀岡八幡宮社殿裏手の森にて開催中
住所|栃木県芳賀郡益子町小宅1369-1
(土祭2021レポーター 橋口奈津子)