風景の発見 旧小宅小学校から安善寺までの風景観察ツアー|秋の里山を歩きました。

すっきりと晴れた空が広がった10月10日、風景観察ツアーの第1回目が開催されました。

「風景の発見」と題されたこのプログラムは、町内3か所に設定されたコースを3回にわたって歩き、益子の景観を改めて見直してみようというものです。

この回では、講師の八色宏昌さん(景域計画株式会社)から周りの環境やそこに生える植物の説明を頂きながら、町内小宅地区にある旧小宅小学校から大平地区の安善寺までの約3キロをのんびりと歩きました。


【講師の八色さん】

益子の里山には様々な環境があり、そのどれもがそこに住む人の営みとともに出来上がってきたものです。八色さんからは、手入れがされないことにはその環境や景観は保たれないというお話がありました。
道端の林も、地元の方が利用し手入れされていることによって出来上がったものです。


【下刈りされている林】


【変形した根元は、木が再び切り株から成長した証】

途中、クサギという木の葉の匂いを嗅いだり


【クサギの葉はどんな匂いだったかな】

谷間に広がる田んぼの景色を眺めたりしながら進んでいくと、

山の斜面に大きな岩がいくつも露出しているところにやってきました。

これは益子町の「ましこ世間遺産」の一つ、「黒石の巨石群」(http://www.town.mashiko.tochigi.jp/page/page002230.html
です。
ここでは亀岡八幡宮里山の会の中山正夫さんから、この岩はもともとは海底火山から出たものとの説明がありました。海から離れたこの辺りがずっと昔には海底だったとは、今の景色からは想像もできないことですね。

道すがら、コスモスや

サラシナショウマなど

里で見られる秋の花を眺めながら歩いていくと、ようやく今日のゴール・安善寺が見えてきました。

この安善寺は、平家物語にも登場する由緒あるお寺です。ここで大平環境保全会会長の高久吉久さんからお寺の歴史などを伺った後、車で旧小宅小学校まで戻りました。

旧小宅小学校では子どもと大人に分かれて、子どもたちは地元の川にすむ生き物たちの観察と魚すくい、

大人は八色さんから益子の里山環境やそこで見られる植物についてのレクチャーを伺いました。レクチャーでは、里山は畑と同様に人が使うものであり、手入れをすることで多様性が生まれること、最近は過疎化や高齢化などによって人がかかわりにくくなり保全や再生が課題になっている、というお話がありました。

今回のプログラムでは、景色としての里山を楽しみながら歩きましたが、そののどかな風景を残していくためには地域としてどんなことができますか、という問いを最後に投げかけられたようにも感じます。
この景色を作ってきた人の営みに思いをはせ、そこからつながる「これからの人と里山のあり方」を考えていきたいものです。

(土祭2021 レポーター:鈴木利典)

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