ウィンドウアート・レポ|レミさんの世界観をみんなで具現化しよう!
6月27日(日)、 道の駅ましこでウィンドウアートのワークショップが開催されまし た。その様子をレポートします。今回のクリエーターは、 マツナガレミさんとサポートメンバーであるTAMASAです。
【マツナガレミさん】
【TAMASAは、 レミさんをサポートする親子ユニット。こちらはMASAさん】
【こちらは、TAMAさん。(小学2年生) 】
『具現化した世界』
今回のアート作品のテーマは『具現化した世界』。 前回フォレスト益子に描いた「可視化した世界」 の続きなのだろうか。レミさんに聞いた。
「前回可視化はできた。だから今度は具現化していこうと思って。 」
レミさん自身が日々思ってること、 信じていることを具現化しているそう。
ワークショップの前日に、 下絵を描くところから見学させてもらったが、迷いなく、 するすると、そして力強く線を引き、描いていく姿があった。 それくらいレミさんの世界への思いや願い、訴えは強いのだ、 と感じた。
【下絵を描いている様子。鳥が2羽います。 】
アイデアはどこからくるの?
「毎日がスペシャルだからね。」
レミさんの周りの些細な出来事もアイデアとなり、思いとなり、 レミさんを通して『絵』となって具現化されていく。
今回は、自宅で収穫した小松菜を干していたところ、 種が落ちているところを見て思った「きれいだなあ。 もったいないな。」 その印象が原動力となり絵になって現れているのだそう。
「それこそ宇宙じゃない? こんなに小さいのに、大きくなるんだよ。」
【小松菜の種。小さい!】
最近の世の中の状況も、レミさんの心を動かしている。
すっかり変わってしまった、コロナ禍の今。
「マスク、マスク」 と当たり前のようにつけなくてはならなくなった、 世の中からのプレッシャー。
ワクチンを、ご褒美クーポンありきで打つような現実。
ストレスがそこらじゅうに転がっていて、 人々は小さいことでイライラしている。
しかしレミさんは言う。
「小さいことで揉めているようでは、世界はよくならない。」
もっと大枠で、未来を見据えて、現実を捉えよう、 ということだろうか。
ちゃんと考えながら、何も考えないで生きている
レミさんは、なんていろいろ感じ考えて生きているのだろう、 と思った。(思ったことを)そのまま伝えると、
「ちゃんと考えながら、でも、なんも考えないで生きてるんだよ。 」
『考えながら、考えない』それってすごく難しそう。 よくよく聞いてみると、『考えていること』のテーマと『 考えないでいること』のテーマ、 それぞれのベクトルが違うのだということがわかった。『 考えている』ことは、未来に向けて何をすべきかということ。 レミさんがあえて考えないでいるのは『 なんで自分は生きているか』という哲学的なテーマ。
「物ごごろついた4歳くらいの時から考えていること。 益子に来るまで悩み続け、来てしばらくも病んでいたが、 あるとき、考えてもしょうがないことに気づいたの。 病むのは勝手、楽しむのも勝手なんだって、 考え方を変換することができた。でも楽(らく) になったわけではないよ。」
ワークショップ当日:みんなで描くスタイル
今回は、ウィンドウアートの企画では初めて、 一般の方々からの参加を募集したものである。 クリエイターだけではなく多人数で描くウィンドウアート。 集まった参加者の多くは小学生の子どもたちだ。
まず、ウィンドウアートプロジェクトの事務局であり、 キットパス(水性チョークでクレヨンのような形体) インストラクターでもある古谷さんから、 画材の特徴などの説明があった。
その後、レミさんから参加者へはこんな要望が。
「今日は、モチーフとして『種』を持ってきました。小松菜とか、 にんじんとか、丸いのもあるし。
見たい人は(ここに置いてあるので種を)見にきてください。 種みたいなものをたくさん描いてほしいの。それから、 自由に描いてもいいんだけど、 枠の中でやる不自由さの中のみんなの自由さを見つけてほしい。 人の絵のところまではみ出して描いていいんだけど、 自分のところだからって文句言わないでください笑。」
【少しずつ色が増えていく】
【みんな真剣。集中。】
みんなでどんどん、レミさんが下絵で描いた線に色をつけていく。
ただ塗るのではなく、点や丸がたくさん。
色が重なり合い、隣の人のアイデアとも重なり合い、 想像もつかない作品が出来上がっていった。
【完成!】
鳥たちの世界が一気に華やいだ。
ワークショップが終わり…
作品完成後、参加した小学生にワークショップの感想を聞いた。
「楽しかった。学校の図工と違って、自由だったから。」
ワークショップの前にレミさんがこう言っていた。「 不自由の中に自由を見つけてほしい。」と。
そんなレミさんの思いが、参加した子どもたちに、 しっかりと伝わったのだ。
マツナガレミさんとTAMASA、そして一般の方々が描いた『 具現化した世界』は、道の駅ましこで見ることができます。 近くから、またちょっと離れたところから、 じっくり見てみてください。ミクロもマクロも、 感じてほしいと思います。
【達成感とともに集合写真。 道の駅の大きな窓がキャンバスに。】
マツナガレミ『具現化した世界』
道の駅ましこ正面玄関 8月31日まで展示中。
(土祭レポーター 橋口奈津子、写真:簑田理香)