益子の風土・風景を読み解く

土祭とは−土祭の考え」でお伝えしているように、土祭では、企画・表現の基礎とし、さらには今後の町づくり・地域づくりに繋いでいく取り組み「益子の風土・風景を読み解くプロジェクト」を行ってきました。その記録を13地区の「土祭基礎資料」として公開します。

プロジェクトメンバー

土祭風土形成ディレクター廣瀬俊介氏+土祭事務局5名。協力:地域リーダー、各自治会長。

廣瀬氏は、環境デザイナーとして設計を行う際に、綿密な現地調査を地理学、生態学、民俗学、社会学などの視点から多角的に行い、土地の風景を通して風土を読み解き実際の設計や地域経営に繋げていく独自の方法論で東北地方や飛騨地方を中心に活動。研究者(日本地理学会会員・日本景観生態学会会員・東京大学空間情報科学研究センター協力研究員)であり、教育者(明治大・東北芸術工科大・岩手大などで2014年3月まで教壇に)でもあることから当プロジェクトに協力を仰ぎました。

プロジェクト概要

2014年6月から益子全域の基礎調査を行い、その成果を廣瀬ディレクターの文と絵による寄稿「益子の風景を通して風土を読む−緑の輪郭を持つ島」として、9月に発行し町内全世帯に配布した『土祭読本』に掲載しています。

次に、10月から2015年6月にかけて、町内を13地区に分けて調査を実施しました。地域の方々の協力を得ながら踏査、住民の方々への聞き取り、文献調査などを行い、その成果を地理学、生態学、民俗学、社会学その他の知見に照らしつつ、それぞれの地区の性質や魅力を浮かび上がらせながら、廣瀬ディレクターが各回につき平均100枚前後のスライドを作成しています。その報告内容を材料に、地区住民と情報や意見を交換する機会をもうけようと、それぞれの地区の公民館におじゃまして「地区ごとの風土・風景を読み解くつどい」を開催してきました。

「つどい」の内容と、その効果

「つどい」では、一方的な講話ではなく、踏査や文献調査で出てきた疑問をもとに、例えば「ここに昔あった郷蔵のことをご存知の方はいらっしゃいますか?」などの問いかけを交えたり、途中で、ご参加の方が持参した昔の写真をみなで囲んだり、地域に伝わるお念仏を実演していただいたり、まさに「公民館」で行うにふさわしい、地域に固有の深いやりとりを重ねてくることができました。

また地域の中でもとても歴史に詳しい方がいても、なかなか他の方は、その話を聞く機会がないことも多く、あらためて地域ごとにさまざまな「資産」を共有する機会ともなっています。

そこで暮らす人にとっては何でもない当たり前の風景も、専門家や他の地域からの視点がはいることで、新たな価値付けがなされ、そのことは、地域の方々にとっての誇りや今後の地域経営へのヒントともなりえていることが、「つどい」の場で実感できる場面が多々ありました。

ご参加の方々からは「風景への見方や意識が変わった」「あらためて、いいところに暮らしていると感じた」「自分たちで散策路を整備してはどうか」など、次へ繋がるような感想をいただいています。

今回の土祭で作品を展示する作家の方々も「つどい」に参加されており、そのお一人、澤村木綿子さんからのご感想から一部を引用して紹介します。

「益子の暮しの生の声を聴けることで益子の風景が違って見えてきています。奥行きのある美しさを感じられるようになりました。廣瀬先生と事務局のみなさんが事前の聞き取りなどで住民の方へ丁寧に耳を傾けられたことで、「つどい」の場で、ご自分の仕事や活動について活き活きとお話をする方を何人も拝見しました。大きな希望を感じることが出来き、私もやる気や元気をいただきました。表面的ではない心でつながりながら出来る深いお祭りになっていくことと思います」

土祭へご来場されるみなさまへ

基礎資料の内容は以下の構成になります。①「つどい」で用いたスライドの全点掲載 ②「つどい」での地域の方々の発言記録 ③聞き取りの全文書き起こし記録 ④参考資料

土祭会期中は、全地区の基礎資料を閲覧できる展示を、田町・元むらた民芸店にて行います。

お時間のゆるすときに、ここで公開する基礎資料のいくつかの地域だけでもお読みいただければと思います。聞き取りの記録は、基本的に、お話を伺った方の語り口そのままに記録を行っています。「つどい」で上映したスライドなどと合わせてお読みいただき、その上で、益子を訪れ土祭にご参加いただければ、益子という土地の、その先へと、深く分入ることができると思います。

土祭2015基礎資料

土祭読本 わたしたちの、風と土

「益子の風土・風景を読み解くプロジェクト」での益子町全体への理解を共有するために土祭事務局で企画制作し、2014年9月に発行、益子町内全世帯に配布をしました。みなさまにもリンク先で全ページをお読みいただけます。

[内容]特別寄稿「益子の風景を通して風土を読む 緑の輪郭を持つ島」廣瀬俊介|第1章「益子の風土、」(土について)|第2章「先人の知恵に感謝し、」(寺社、民藝運動について)「濱田庄司 プラスの生活」濱田友緒|第3章「この町で暮らす意味と幸せをわかちあい、」(伝統芸能、祭りについて)|第4章「未来につなぐ。」
『土祭読本 わたしたちの、風と土(2014年9月発行:町内全世帯配布)』

「益子の風土・風景を読み解くプロジェクト」報告書

土祭の実施と益子町の地域経営を益子の風土性に根ざして行う上でのいしずえとすべく計画された「益子の風土・風景を読み解くプロジェクト」の企図に即して、益子町における風土研究の継続と進展に役立つものとすることを目標に、廣瀬ディレクターが作成しました。
第3章(16頁~)には、町内13地区ごとに「風土・風景を読み解くプロジェクト」の到達点と今後の研究課題がまとめられております。
また、第4章(33頁~)には、廣瀬ディレクターの発案による「土祭の第三者評価」として、竹内万里子氏(写真論、京都造形芸術大学准教授)と片桐隆嗣氏(社会学、前・東北芸術工科大学教授)からいただいた批評を収録しております。

[内容]第1章「研究方法」|第2章「益子の風土と風景がどこまで読み解けたか」|第3章「益子の風土と風景のどこからが読み解けていないか」|第4章「土祭の第三者評価」|巻末資料
『「益子の風土・風景を読み解くプロジェクト」報告書(2015年12月廣瀬ディレクター作成)』(PDF・約215MB)

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