益子の駄菓子 まずは甘く茶色いお菓子から

土祭の夕焼けバー子供の日に向けて子供達に提供する。
益子の駄菓子作りが始まりました。
お菓子を作っていくと共にその背景もしっかりと伝えていきます。


〈駄菓子・米飴作り〉

この企画は多くの益子の方々から言葉をいただき立ち上がったものです。
そのきっかけは、昨年から行って来た風土・風景を読み解くつどいの聞き取りの中で、
七井幼稚園の佐藤広志さんに話をいただいたことがきっかけです。
「祭なんだから子供が興味をもつもの楽しめるものがないとね。」と話をいただき、
益子の食材を使った化学調味料や、化学的な着色料を使わない、
この土地の風土に沿ったお菓子を子供達へ作ろうということから始まりました。

今回の試作では、菓子作りには欠かせない砂糖を、米と麦芽から作る米飴を作ることから始めました。試作するのなかの幾つかは、聞き取りからきっかけに作る駄菓子もあります。

大沢の薄羽仁太郎さんの話から戦後の水っぽくぶよぶよのまずいサツマを、
美味しく食べるために作った「サツマ芋の粉で作ったサツマ芋の蒸しパン」、
高松靖子さんが年に一度、薬師堂の祭典にだけ作る「薬師堂の大判焼き」の話など、
益子の風土・風景を読み解くつどいの聞き取りをきっかけに作る駄菓子もあります。
東田井の高松靖子さんは昔、砂糖が貴重だったころは、砂糖ではなく塩で餡子を作っていたと話を聞きました。


〈薬師堂の焼き饅頭の試作中〉


〈作ったものを並べてみて〉

試作が終わって作ったものを並べてみると参加者から最初にでた言葉は、
「みんな茶色いね。」でした。自然育児の大切さを伝え合う活動をしている、益子自然育児の会おむすびの里の代表の松永レミさんが後日、web上で綴った文章を紹介させていただきます。「茶色いお菓子駄菓子作りの試作でした。米飴から手作りしたきな粉飴を 始め、茶色いお菓子を作成。戦中戦後の子供たちがお腹を空かせながら頬張ったのだろうサツマ芋の蒸しパン。この素朴な甘味を、現代の子供達がどれだけ喜ん でくれるのか、未知の世界。でも、ほぼ地産地消可能なこのオヤツを、生活の片隅においてくれたらと願い、試作を続けました。なんにつけても小麦が大活躍 だったり、卵が入るだけで味が高級になったり普段あまり感じない甘味や旨味、体感して欲しいなぁ」と綴っていました。材料の限られたなか今回作ることは、卵であったり小麦粉であったり一つ一つの材料に対して時間をかけてみることになりました。そのことで多くのことを子供達にも伝えられると思います。

最後にお菓子作りに欠かせない砂糖について益子の方から話がでてきましたので紹介させていただきます。砂糖大根と、さとうきびの話です。砂糖大根は、今から数十年前 まで乳牛の餌のために栽培していたという話を、小宅地区の岡本光一さん、ミエコさん夫妻から、さとうきびについては、大沢地区の浦壁進さんと道祖土地区の大塚キヨさんから聞きました。「昔、益子で砂糖きびを育てていて齧っていたんだよ」という話を聞きました。

このような話も、今後この土地の作物を考えていく上で大切なことではないかと思います。町の方々に聞いた一人一人の話を丁寧に観察していくと、人 間一人が携われる時間を越えた長い時間の中で精査されてきた貴重な記録でもあるのではないかと思いました。

この土地で、穫れる作物を使 い、楽しく考え話を共有して、料理を食べることは、
身近にこの土地のことを知り考えを巡らせることに繋がるように思えます。

 

〈試作したメニュー〉
米飴、麦糖せんべい、りんご飴、薬師堂の焼き饅頭、薄羽さんのさつまいものパン、きな粉飴、そばかりんとう、クレープ

〈試作に使用した材料〉
菜種油 (Boulange770・益子)
ハチミツ(HoneyBee&Harmony・益子)
小麦粉、そば粉、柚子ジャム、きな粉、もち米 (高松さん・益子)
卵(薄羽養鶏場・星の宮)
人参(西谷津農園・益子)
人参(まんまる農園・真岡)

乾燥麦芽 (「日本の稲作を守る会」・上三川)
ブルーベリー (綱川さん・茂木)

今回の、参加メンバーは、この企画に賛同していただいた、松永レミさん、大塚ゆかりさん、伊藤 綾乃さん、小山博子さん、小堀聡美さん、小杉聖子さん、那花夕子さん、高瀬 一枝さんの8人で益子の中央公民館の調理室で行いました。

(事務局・萩原)

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