31 「たてものの未来」 日置拓人

31 建築プロジェクト|綱神社 鶴亀の池周辺|道祖土・大羽 土と水のエリア

「たてものの未来 縁側の家」 日置拓人

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 ヤドカリは、小さな貝を好んで宿とする。
 むやみに欲張らず、あくせくと名利をおいかけない。
 心静かに生きることを望み、平穏無事を楽しみとしている。
 
自然界のヤドカリやミサゴの姿に共感し、人が住む家についての想いを綴った、鴨長明。
宇都宮朝綱と同じ時代、平安末期から鎌倉時代に名を馳せた歌人であり随筆家でもありました。
日置さんは、彼の「住まい感」を表現したいと語ります。
未来の建物は、性能で評価されるのではなく、どれだけ人の感性に共鳴する空間を創り出せるか、
そこを大切にするものであってほしい、とも。
大羽地区の森に、自然と一体となった楽しい時間を過ごせる桟敷空間が現れます。
■会期中は毎日オープン 10:00〜17:00 非電化冷蔵庫を設置しています。

日置拓人/ひきたくと

日置拓人/ひきたくと

1969年神奈川県生まれ。1993年早稲田大学理工学部建築学科卒業。1995年イタリア政府給付生ローマ大学建築学部在籍、1996年早稲田大学理工学研究科建設工学科修士課程修了。2010年まで早稲田大学理工学部建築学科非常勤講師。2006年 第12回 ひとにやさしい街づくり賞(INAXライブミュージアム)、2008年 愛知県まちなみ賞・入賞などの受賞歴がある。2012年は、大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレにも参加。

  • 「建築陶器のはじまり館・テラコッタパーク」

「建築陶器のはじまり館・テラコッタパーク」設計2012年
 愛知県常滑市INAXライブミュージアム内
 撮影/日暮雄一

会場:綱神社鶴亀の池周辺

  • 綱神社 鶴亀の池周辺
  • 綱神社 鶴亀の池周辺

平安末期から鎌倉初期にかけて、現在の宇都宮市を本拠地として活躍した武士、
宇都宮家の宇都宮朝綱は、夭逝した嫡男の業綱のために益子の上大羽にあった寺を整備し、
大羽山地蔵院とし、宇都宮家の菩提寺としました。さらに、自らが引退後に隠棲する地と定め、
綱神社をはじめとして多くの神社や宝塔を建立したと言われています。
発掘調査では、この地に浄土庭園も造られていたことがわかり、
長い間埋没していた鶴亀の池も、再び水を湛えるように整備されています。
極楽浄土の世界を再現したと言われる浄土庭園。
朝綱は、どのような思いで、鶴亀の池を眺めながら余生を過ごしていたのでしょうか。

非電化冷蔵庫 ― マシコ・アース・ヴィレッジの取り組み
電力に頼らない暮らし。今、この町で、私たちはどんなことができるのでしょうか? 土祭では、栃木県那須町に「非電化工房」を構える工学博士の藤村靖之さんのご指導をいただき、地元高校生がワークショップで電気を使わない冷蔵庫を作ります。水、大気、夜空、宇宙、そして熱伝道や対流。自然の恩恵と科学の知恵でカタチになります。夕焼けバー、鶴亀食堂で使用します。
協力/非電化工房(那須)、真岡工業高校

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